Yuuki

作/宍戸幸子(2017.5.3)

第一幕

幸子、街頭で署名活動をしている。

「戦争に反対しましょう。共謀罪反対の署名をお願いします。あ、そこのお嬢さん、待って、行かないで」追いかけながら舞台袖に消える。舞台暗転。スポットライト。幸子が黒緑のすすむの写真を胸に静かに立ち上がる。

喝采の音楽「あれは3年前、止める私、駅を残し、動き始めた汽車に1人飛び乗った。しなびた街の昼下がり、教会のベンチに佇む喪服の私は祈る言葉さえ失くしてた。」

 

第二幕

シェルブールの雨傘、哀切のメロディが流れる。

松子「あなたが戦争に行くなんて耐えられないわ、ジュテーム」

すすむ「二年の兵役なんて、あっという間さ。一生のうちのたった二年だ。僕を愛しているなら、待ってておくれ、ジュテーム」

松子「いっそのこと日本がひっくり返って、安倍なんていなくなればいいのに」ピッピ―。警笛の音。レッドカード(日の丸)ピッピ―、警笛の音。

憲兵「貴様ら、テロ準備罪だな。二人でいま共謀してたろ。市民の事は何でも監視してるんだぞ。」

すすむ「僕らはただ平和がいいと言っただけだ。」

憲兵「それがテロなのだ。国家転覆罪だ。そのうちお国の為に死ぬのは嫌だなんて、わがままいうようになるんだ。」

 

第三幕

ブタ箱ですすむと松子と憲兵

憲兵「他に誰と共謀しているんだ。吐け。」

すすむ「何もしていません。」

憲兵「椅子に背を持たせるんじゃない。夜中まで尋問するぞ。」

憲兵「仲間の名前を言えば、罪一等滅ずるぞ。正直に吐くまで夜中までつきあってもらうぞ。えぇ。松子がかわいそうとは思わんか?ほれほれ」

松子「私の事はいいの。すすむさん愛してます。」

すすむ「こんなの拷問と一緒じゃないか。公務員が拷問しちゃいけないんじゃないですか」

憲兵「自民党の憲法では絶対という言葉をはずしたんだ、つまり少しぐらいいいのだ。」

松子「やめて、私たちにも基本的人権があるはずだわ。」

アベ(死神の衣装)「は、は、は。私が今、緊急事態宣言を発令したからな。」…

 

終幕

年老いた幸子「あの時、ほんの少し政治に関心があったなら。」

「あの時、ほんの少し憲法の話を聞けば。」

「あの時、ほんの少しの勇気があれば、息子を死なせずに済んだ。」あの時…。

 

6/1 17:30より、日本刑法学会 元理事長・村井寿郎氏「共謀罪」コラッセ福島3階

6/3 13:30より、元東大教授・池内了氏「軍拡共同」市民会館2階

5/20 13:30より、倉内恵 弁護士「共謀罪」市民会館301号室
 「メールも出来ない?共謀罪。…新法案で危険は払拭されたか?」